「3min映画祭」入選者インタビュー 第二弾
昨年 12/16(日)に開催されました首都圏映画サークル連合主催「3min 映画祭」では、沢山 のご応募、ご来場をしていただき、誠にありがとうございました!
今回は前回記事から引き続き「3min 映画祭」の入選者インタビュー第二弾(第一弾は先週 公開、第三弾も近日公開予定)を公開させていただきます。
記事の作成に協力していただいた入選者、関係者様、
本当にありがとうございました!
早速インタビュー内容に移りたいのですが、こういう記事もロボットじゃなくて皆さんと 同じように大学で映画を作ってる学生ライターが書いていますよ(当たり前ですが笑)とい うことを改めて知ってもらって、少しでも連合の存在を身近に感じて貰えればと思ったの で僭越ながら自己紹介を記事の最後に載せています。大したものじゃないですが、よかったら見てください。
第2弾では
第5位(同率) 『ハッピーアワー』/岩瀬航監督/千葉大学映画研究会
第 5 位(同率) 『memento mori』/野澤直貴監督/大東文化大学映画研究会
第 4 位 『カップラーメン』/馬渕有咲監督/⻘山クリエイティブチーム
御三方のインタビューを掲載させていただきます。
《岩瀬航監督インタビュー》
【『ハッピーアワー』の劇中シーン』】
1.「今回の作品のテーマを一言で表すなら?」
「強い女たち」です。この作品の企画段階で、演者の方に、このテーマで撮ろうとお話をいただいたので、それを自分なりに解釈しました。 拙筆ながら、テーマをその経緯とともに解説いたします。
まず、私は今春、学生映画にしては大きな作品にかかわりました。その作品で描かれていたのは、女同士の「嫉妬」でした。(厳密にはもっと質の違う「嫉妬」なのですが、とことんテーマを還元していくと、「嫉妬」の一言に尽きると思います。)
「嫉妬」というのは、自分に足りないものを身近な人間が持っている時に抱く感情であり、とても自然なものです。女性だから、ということはありません。私も嫉妬にまみれた人間ですから(笑)
そして、その映画に「救い」はありません。登場人物たちは、これからも嫉妬を背負って生きていくのだろう。そう感じさせるラストでもあります。
しかし、私はそれに疑問というか、かなしさを感じました。その映画に描かれている感情は とても正直なもので、映画そのものもすばらしいものでした。 その時に感じていた疑問・かなしさに対して、今回の『ハッピーアワー』では、「強い女た ち」というテーマに落とし込むことで、ひとつの解というか、アンチテーゼを提唱しようと試みたわけです。
続いて、上述のことを踏まえたうえで、私が考えた「強い女(女たち)」とは何かについてお話します。結論から言うと、「身近な人が自分にないものを持っていて、それに嫉妬したとしても、心から『すごいね』と言える」、それが、私の考えた「強い女」です。 登場人物の関係性を整理いたしますと、「演劇をやめて、大変な仕事に打ちこむ OL(画面 右側・役名なかじー)」、「プライベートではうまくいかないが、仕事はうまくいっている作家(中央・役名ゆうちゃん)」、「夢を追いかけるも、まだまだ成功できていない女優(左側・ 役名まきまき)」の 3 名がキャストであり、この映画のすべてです。
この人物たちは、それぞれに「嫉妬」の余地があり、実際にそういう感情を抱いてもいてもおかしくありません。 しかし、この映画にはそれがあらわれません。ともすれば、この選択は「薄い」と言われる かもしれません。また、「こんなものは実際にはありえない」「嘘を描いている」とそしられ ても、私には反論できません。
ですが......実際にこの 3 名は会うとこんな感じであり、ラストシーン「生まれ変わっても、 同じ人生がいい」という台詞は、彼女たちが実際に発した言葉です。この言葉を聞いたとき、 「ああ、強いな」と私は思いました。 この女性たちをそのまま描くことが、今回のテーマに直結するので、どれだけ彼女たちに迫 った脚本が書けるか(実際には「脚本」ではなく「脚」にとどまってしまいましたが(笑)) に心血を注いだような気がします。 まとまらない文章で申し訳ありません。作品の「テーマ」を言葉にするのは大変ですね。
2.「3分以内という募集条件を見た時、又は作品製作時にどう捉えましたか?」
絶妙な時間だなと感じました。これが目標になる人も、足枷になるような人もいるだろうと。 私には目標になりましたが、苦しんだ方もいらっしゃると思います。 演者の台詞は、その多くがアドリブです。使用した 3 カットは、3〜4 テイクずつ撮ったの ですが、どれも台詞が違い、どうしても計画分すべてを 3 分に収めることはできませんでした。
ですから、編集時にかなり妥協したというか、ここまで入れたかったけど泣く泣く... みたいなのはありましたね。 しかし、アドリブだからこそ出せた空気感みたいのは大事にしたかったので、「これで 3 分に収まらなかったら今回はあきらめよう」という覚悟で制作しました。結果的にはとても良 いものができて、キャスト陣には感謝しきれません。
3.「他の学生監督さんの作品制作のヒントになるよう、製作時に使用した主な撮影機材を教 えてもらえたりしないでしょうか?(カメラ、レンズ等)
これは私のためのような質問ですね(笑)
〇カメラ...SONY α7s
〇レンズ...Carl Zeiss 製 35mmF1.4,50mmF1.4,85mmF1.4
〇レコーダー...zoom H6
〇マイク...ガンマイク:ゼンハイザーMKH416
〇ピンマイク:SONY UWP-D11×3
〇照明...LED ライト 1 灯+ライトスタンド
それから、外部モニターを使用しています。これは、カメラのモニターが小さくて見づらい ためと、キャストに自分自身がどう映っているのかを見せるためです。私の撮影ではいつも 使用しています。 最近は、スマートフォンと連動して、スマートフォンが外部モニターになるような機能もあ るみたいです。私は別の撮影でしか使ったことはありませんが、とても便利でした。 外部モニターが高くて手が出ない方は、調べてみるといいかもしれません。
また、ピンマイクは機材屋からのレンタルです。撮影時間が一時間しかなく、スタッフが私しかいなかったので、「時間と手間がかけられないなら、お金をかけるしかない」という私の経験則にのっとり、ちょっと頑張りました(笑)
最後に、これはあまり言いたくないことなのですが、3 カット目(外の引きの画)について は、「ブラックミスト」という特殊なフィルターを使用しています。私のなかの切り札的な機材ですので、教えたくはありませんでしたが、4 年ということもありますので言ってしまいます。大いに参考にしてください。
4.「厨房前の座席に横並びに座る役者の配置が凄いしっくりくるというか、収まっていると いうか、まさに【妙なり】という感じでした。以前撮影中の別作品の画作りを見せてもらっ た際にも同様の感触を抱いていたので「これは極意があるに違いないっ!」と個人的に思っ ているのですが入選作を踏まえてそこら辺いかがでしょうか?」
極意...極意ですか。私がよく見るのは、古い邦画で、そこからヒントをもらうことが多いで すね。
極意は「映画を観ること」ということになるのでしょうか。それから、私の先輩に、 笑っちゃうくらいすばらしい画作りをする先輩がいて、その先輩との撮影、あるいは飲み会で学んだことは私のほぼすべてです。「あの人には敵わないなあ」と思いながら、映画制作をしているような気がします。まあ、いつか倒しますけど。 それらを踏まえると、「映画を観て、撮るなかで学ぶ」ことが極意でしょうか。これ後でなんて言われるかわかりませんね。
役者の配置について、今回に関しては、役割から座る位置を決めたと思います。「まきまき は開幕吐くし、会話に変化を与える役割をもつから画面左」、「ゆうちゃんは映画の主題を端 的にあらわすから真ん中」、「なかじーは先に店にいるから画面右」という感じです。あと、実際に座ってもらって、ちょうどいい空気感になるかどうかは大事ですね。頭で考えてることと、モニターに映ることは実際にはかなり違いますから。
5.「もう一つの『ハッピーアワー』(笑)の方は基本的に会話のリズムをカット割りで演出していますが、本作は実際の友人関係から配役したからこその本来のリズムをフィックスの⻑回しで見事に映像に焼き付けていたと思います。演技や脚本はどの程度まで決めてい たのか気になります」
(笑)を付けるな(笑)を!(笑)
あの作品は、私も夜を徹して観るほどドはまりしたのですが、 「これを真似したら確実に失敗するな」とも思いました。濱口監督は、そのあたりのバランス感覚が絶妙な方なのだと思います。 むしろ、今作で影響を強く受けているのは、同じく濱口⻯介監督の「寝ても覚めても」です。 ご覧になった方は、思い当たるカットがあるのではないでしょうか。
さて、演技については、「素を出してくれ」とキャストには伝えました。彼女たちの存在そ のものが、今作のテーマであったからです。 「脚」については、「『嫉妬』を生む余地」を示す台詞のみ決めていました。一応、ひとつの 流れは案として作っておいて、それを読み合わせで彼女たちに即したもの変更していった というかたちです。
「脚」に関してもう一つ。⻑回しでカットを割らないというのは、「脚」段階から決めていたことでもありました。それにはネガティブな理由とポジティブな理由があります。
ネガティブな理由に関しては、撮影時間の問題です。一時間で撮りきらなければならなかった(実際には少しオーバーしました)ので、一人一人の寄りを撮ることができないということ。
ポジティブな理由に関しては、「カットを割る」という行為そのものが、人物、あるいは物 を空間的・概念的に区切ることにつながるため、彼女たちの「アワー」(ここでの「アワー」 は「時間、人生」を意味します)をそのように区切ってはいけないと思ったからです。
したがって、ほぼ必然的に、スリーショットの⻑回しというのが選択されました。キャストには 負担をかけたと思います。 カットについてもう少し話します。ラストカットについては、もともとスタビライザーを使 って正面から彼女たちを捉える予定だったのですが、2 カット目に厨房に入らせてもらえて (入れると思ってなかった!)、そのカットは撮れたので、むしろ事前に決まってなかったものです。
残り時間が 5 分くらいしかなかったので、「めちゃくちゃ引いて、望遠しかない」とその場 のカンでカメラを置きました。これは本当に幸運でしたね。今までの撮影への参加経験が大いに生きたと思います。
6.「Q&A 方式だけじゃ伝えきれない部分が多いと思います。ここはどうぞ好きなように言 いたいことを言ってください!!」
2 点お話しします。1 点目は、私がかたくなに「脚本」ではなく「脚」と言っている理由に ついてと、もう 1 点は明日からでもできる技術の話です。
1 点目について。これは「脚本」とは何かという話にかかわってきます。この点に関しては、 さまざまな、膨大な数の考え方があり、私の考えはその海のなかの目立たない小島にすぎま せん。そのことを念頭においてください。
「脚本」とは、単なるシナリオではありません。言葉を分解すれば、「脚」と「本」に分け られ、「脚」はその言葉の通り、その物語を支える「脚(アシ)」の働きを示し、そして「本」 はそれが作品であることを示します。 偉大なる先輩の言葉を借りれば、「脚本とは、ト書きと台詞による文学」であり、「物語を支える文学」でもあると私は思っています。
物語を支える「脚」とはなにか。これはさまざまな解釈ができるのですが、私は「テーマ」 あるいは「主題」であると考えます。それを、ト書きと台詞によって文学として昇華できれば、それは「脚本」と呼べるでしょう。 本作のために私が書いたものは、単なる「テーマ」「主題」を文字にしたもので、いくつかの台詞はありましたが、それは文学へと昇華されたものではなく、したがって「脚本」を書 いたという実感はありません。
こう言ってしまうと元も子もないようですが、私は今まで、ファイルに「脚本」と名付けてはいますが、「脚本」を書くことができたという経験はありません。どこかで、その「脚本」 の定義から外れ、「脚本のようなもの」が完成してしまっているのだと思います。 学生映画というジャンルにおいて、最も弱いのは技術ではありません。脚本です。ですから、脚本に関してはもっと真剣に、大いに、そして文字通り死ぬほど悩むべきだと思います。
2 点目について。技術についてと言いましたが、音声と照明についてをお話しします。撮影については、私よりも一家言ある方のほうがほとんどでしょうから、何とも言えません。 まず先に申し上げると、今作の映像ついては、すべて編集時で手を加えていない、いわゆる 「撮って出し」というものです。カメラの設定と、撮影時の照明ですべてを決定しました。 これは、私の編集技術が致命的に低いということでもあるのですが、撮影時にできることは もっとあるということを知っておいてほしいですね。
さて、本題です。 音声については、最近の首都圏映画サークル連合加盟団体の流行は、アフレコであるようです。私は、Cinema Terminal の一次審査を四回経験したのですが、それを通じて思うことは 「音声技術が低く、それをカバーするものとしてアフレコを選択することが多くなった」と いうものです。 気持はわかります。現場は忙しいし、時間もないです。飛行機や自動車による妨害もありま すし、入るべきではない音も入り込んでしまうことがある。現場の負担を最大限減らし、そ して作品のクォリティを上げたい。その葛藤の末に、音声を後で録音するアフレコを選択してしまう。これはある意味では必然的な流れですね。 私が申し上げたいことは、それにしても録音の技術が低いということです。
たとえば、アフレコにしても、室内で録るか、屋外で録るか、撮影のすぐ後に録るか、数日たってから録る か、また、マイクと人を近づけて録るか、遠ざけて録るか...それによってもだいぶ変わってきます。屋外のシーンなのに、アフレコは室内で行う。これは最悪だと思います。よほど音響設備の整った環境でない限り、それは避けるべきでしょう。屋外の声の響きと、室内の声の響きは、かなり違います。声の奥行だとか、反響だとか、そういったものはすぐにわかります。屋外のシーンのアフレコは屋外で、室内のシーンのアフレコは室内で、室内で静かな環境が得られないときは、比較的静かな屋外で、が基本になるでしょう。
アフレコを選択する際におすすめなのは、撮影を行ってすぐに、役者に再びシーンを通しで 演じてもらい、声と動作音だけを録ることです。この行為は、「オンリー」と呼ばれている もので、この際、カメラは回しても回さなくても構いません。 人間というものは不思議なもので、同じ演技は、素人でも直後に再び同じ演技をしろと言われたら、案外できるものです。数日たつと、それは不可能になるので、その場で音声だけを録るのは、結構おすすめです。
アフレコではなく、現場で音声を録る、同録にこだわる人。私もそうですが、大変ですよね。 おすすめはピンマイクです。ガンマイクやレコーダーの外付けマイクで環境音を拾い、ピン マイクで音声を拾うのが経験上スタンダードな使い方だと思いますが、複数チャンネルを もつレコーダー・ファンタム電源や、そもそもピンマイクを持っていないという団体もある と思います。私も、3 年生までは基本的にガンマイク一本で音声を録ってきました。これも ある程度習熟すればなんとかなるのですが、そこまで音声を担当し続けるような変わり者 はあまりいないと思います。
同録の際は、「限界までマイクを演者に近づける」ことが基本であり、すべてです。そのた めには、地面に寝そべったり、木に登ったり、あるいはうまく物影に隠れたりなど、さまざ まな工夫が必要です。私も誇張ではなく死にかけたことがありますが、安全に配慮して頑張 ってください。 比喩的な表現ですが、音にも映像と同じく、「ピント(フォーカス)」があります(これは私 が常々感じていたことを、後輩の言葉を借りて言っています)。これは録ってみないとわか らないですね。ぜひガンマイク(とレコーダー)を持って街に出よう!
照明については、独学になりますが、照明の役割を挙げておきます。
1、撮影に必要な明るさを確保する。
2、人物に、映画的な陰影をつける。
3、場を照らし、奥行きのある画面をつくったり、見せたい物を際立たせる。
4、過剰な光を切る。
5画面に色を付ける。
とまあ、こんなものでしょうか。いろいろとツッコミどころがあるという方もいるかもしれませんが、私が現場で経験した照明の使い方はこんなものでした。
1については、ほとんどの方がやっているでしょう。最悪の場合、スマートフォンのライトでもどうにかなります。
2についても、ホラー作品をつくったことがある方ならお馴染みでしょう。照明を人物の横から当てたり、上から、下から当てたりで、さまざまに観客に与える印象は変わります。
今回紹介したいのは3なので、3は飛ばします。
4については、たとえば昼に夜のシーンを撮影したいという場合に必要な技術です。単純に 暗幕を張ったり、レフ板でうまく光を遮ったり...がそれに該当するでしょうか。
5については、照明の光というのは「色」へと意味が還元できますので、カラーフィルターや、いわゆる「ゼラ」と呼ばれるもので、画面に色を足したりすることが、照明はできま す。これはあんまり使う場面がないかもしれません。私は過去に、さまざまな現場で、朝陽や夕陽、月光などをつくってくれと言われたことがありましたが、この技術の応用でなんとかなります。
さあ本命の3について、これは本作『ハッピーアワー』でも使用した技術です。
本作は全 3 カットで構成されており、その 1 カット目と 2 カット目に、照明を使用しています。
1 カット目。ゆうちゃんとまきまきが居酒屋に入っていくカット。このカットで、店内になかじーがすでに座っていることがわかります。 これは、照明を用いずに撮影すると、外の白飛びがないように撮影しなければならないため、外の露出にカメラの設定を合せると、なかじーが黑くつぶれ、見えなくなってしまいます。 店内の備えつけ照明が暗いので、そういうことが起きてしまいます。 そのことを避けるために、店内にライトスタンドを用いて照明を設置し、なかじーにかなりの光を当てています。その際、カラーフィルターをLED照明につけて、光の色を店内の蛍光灯と合わせています。 このように照明を用いることによって、店外と店内の露出をそろえ、なかじーにもゆうちゃんにもまきまきにもフォーカスの合うカットをつくりました。これは、見せたいものを際立たせているし、画面に奥行きもつくっているので、3の使い方の応用となります。
2 カット目。これは、照明を 3 人の背景となる壁に当てています。店内の照明がやや暗かっ たので、壁に当てることで画面に奥行きをつくっています。とくに壁を見せたいわけではなかったのですが、画面が平面的になると、パンフォーカス(画面内のすべてがくっきり見え ている状態)で撮る意味がなくなる気がしたので、そのような照明をつくりました。このカットは、画面手前にメニュー、ついたて、その後ろに人物 3 人、背景にいろいろ、と、だいたい3列の構図ができているのがわかると思います。
以上のように、LED ライトひとつとっても、さまざまな使い方があります。本を読めばのっていることなので、偏見に満ちた私のコメントを見る必要はないかもしれませんね。 しかし、おそらく明日から使えるので、ぜひ試してみてください。
7.「最後に今後の学生映画界に対してどんな展望・希望を抱いているかお願いします」
とにかく撮るしかないと思います。撮って、評価してもらって、悩んで、またつくって...と、 そうした研鑽のなかで少しずついいものが生まれてくるのだと思います。 映画はひとりでは撮れません。撮る人、手伝ってくれる人、出てくれる人、観てくれる人... そういった人が必要になってきます。とにかく撮るしかない。どんな作品でもいいから、撮ることが大切だと思います。
首都圏映画サークル連合は、さまざまなことを行ってきましたが、発足当初から続けてきたことがあります。それは、映画をつくりつづけること。学生映画の発展を目指すなかで、な にをすればいいかわからないなかでも、それだけは続けてきました。ですから、映画を撮る ことは、学生映画を前へと押し進め続けることであり、そこだけは絶対にぶれてはいけない ことであると思います。 どんな作品でも、それは立派な作品です。首都圏映画サークル連合は、そういったものをす べて受け入れてくれる組織であり、そしてそのなかで必ず理解者を見つけられると思います。映画を観たい方、語りたい方、知り合いを増やしたい方、優秀な技術者を見つけたい方、 そして現状に何らかの違和感を抱えている方は、ぜひ首都圏映画サークル連合にかかわっ てください。いろんな人間がいて、きっと楽しいと思います。
私は委員として 4 年間、副代表として 1 年、そういった場をつくろうと努めてまいりました。そういった場になっているかどうか、みなさん自身に確かめていただきたいです。
【第5位選出時の岩瀬航監督】
インタビューの協力ありがとうございました!
続いて同じく第 5 位に選ばれました、野澤直貴監督のインタビューです。
《野澤直貴監督インタビュー》
【『memento mori』の劇中シーン】
1.「今回の作品のテーマを一言で表すなら?」
メメントモリ
2.「3分以内という募集条件を見た時、又は作品製作時にどう捉えましたか?」
「3 分以内で映画を作る」というお題に対して、私が感じた「限りある時間」や「迫りつつ ある時間」といったことを、作品を通して表現出来たらないいなと思いました。
3.「他の学生監督さんの作品制作のヒントになるよう、製作時に使用した主な撮影機材を教 えてもらえたりしないでしょうか?(カメラ、レンズ等)
sony HANDYCAM
4.「連合委員の中でも自殺志願者の夢、サナトリウムでの療養等、本作は設定解釈について 様々な意見が飛び交った作品の一つでした。質問者の個人的興味としては飲み会の席で話 されていた【死生観】というワードも気になります。ヒントでもなんでもいいので何か作品 の意図を教えてもらいたいです」
なるほど、確かにその解釈もまた、この映画にふさわしいのかと思います。本作はメメントモリ(死を思え)というテーマに対して、私の死生観を投影した作品になっております。ですが、私なりの考えを作品の根本としつつも、多義的な解釈が可能となるような作品にしたため、この映画をどうとらえるのかは皆さんにおまかせします。
5「. 短編作品は⻑編作品と比べて時間的に手軽なためリピーターは自ずと多くなると思います。「また観たい」と思わされる作品を作りたいと語っていた監督にとって今回の企画がい い機会となったことを願っています。内容の複雑さ、心地良い描写等、観客が再鑑賞する理 由は様々ですが、監督は【再鑑賞】という行為をどう考えていますか?」
特に難しく考えていません。なんとなくもう一回みたいな程度の気持ちで再鑑賞していま す。同じ映画を見返してみると、初回では気付かなかった伏線や映画の意図など、様々な新 しい発見があり楽しいです。見返すきっかけは直感でいいと思いますが、その映画に対して 何かしら感じたことを、再鑑賞を通して自分なりに突き詰めていくことが大事ではないか と。
6.「Q&A 方式だけじゃ伝えきれない部分が多いと思います。ここはどうぞ好きなように言 いたいことを言ってください!!」
今回の上映会を通して、他大学の方から様々な良い刺激をいただきました。このような貴重 な機会を催していただき、連合委員の皆様、ありがとうございます。
7.「最後に今後の学生映画界に対してどんな展望・希望を抱いているかお願いします」
自由に好き勝手作れることが学生映画のいいところではないかと。なので、各自が自分の撮 りたい映画を好きに撮り、今回の企画のような他大学との交流を通して、お互いの作品に刺 激を受けあうことで、学生映画界が活発になればいいなと思っています。
【第5位選出時の野澤直貴監督】
インタビューの協力ありがとうございました!
続いて第 4 位に選ばれました、馬渕有咲監督のインタビューです。
《馬渕有咲監督インタビュー》
【『カップラーメン』の劇中シーン】
1.「今回の作品のテーマを一言で表すなら?」
食欲
2.「3分以内という募集条件を見た時、又は作品製作時にどう捉えました か?」
せっかくなので制限を生かした作品を作りたいと思いました。
3.「他の学生監督さんの作品制作のヒントになるよう、製作時に使用した主な 撮影機材を教えてもらえたりしないでしょうか?(カメラ、レンズ等)
一眼レフ(アクションシーンは望遠レンズ) 三脚
IC レコーダー、指向性マイク
照明
4.「凄く失礼な話になるのですが、勝手に筋肉隆々の眉毛が濃い男の中の男み たいな人が監督に違いないと思っていたので、上映後にショートカットで華奢 な感じの馬渕監督が登壇した時には驚きました。が、初監督作品でこんな高い レベルの作品を作ったというのにも非常に驚きです。提出が一番早かったにも 関わらず手の込み具合も素晴らしくて本大会への熱意が伝わりました。是非撮 影までどう手はずを整えたのか知りたいです!」
有難う御座います!
さいしょに題材をカップラーメンに撮ると決めました。カップラーメン、普段から大好きでよく食べるのですが、このような機会がないと題材に映画撮ることはないと思ったので、今回他の作品と被るの覚悟でこれに決めました。案外被らなくてよかったです!笑
それから、脚本を考えて、ロケ地を決め、キャストに頼み、撮影に使う小道具などを揃えました。火を使う撮影だったので、蒔など持っていくのが重くてちょっと大変でした。でもやっぱり火があると画が映えるし良かったと思います。
アクションは、一回撮ってみたいという気持ちがあったので、今回挑戦してみました。しかしアクション、撮り方や編集など、思っていたよりだいぶ難しかったです。殴るとき殴られたときの反応など、もっと研究してまたチャレンジしたいです!
5.「3分の中でも厳格な自然描写による緊張感、オーバーアクトな殴り合いの 滑稽さ、ラストのほっこり等で最初から最後までたっぷり大満足な内容でし た。しかし、なんといってもこの作品を成立させるには主演二人の体を張った 演技が不可欠だったと思います。あの二人の役者さん、気になります...」
有難う御座います!
無人島感を出すために自然描写のカットを多く撮ったのですが、はじめ⻑さを 気にせず編集したら 6 分にもなってしまいました。だいぶ削ってやっとのこと 3 分にしたので、緊張感でたか不安でした。
殴り合いは、実はかっこいいガチンコアクションを思い描いていたんですが、なんだか滑稽になってしまいました(笑)でも上映中笑いが起こってくれたので、これはこれでよかったとします!有難う御座いました!
キャストの内藤くん(冒頭カップラーメン所有者)は、前作で振り切った芝居を 披露して部内で注目を集めているアクトの若手俳優です。撮影当日は声が枯れるまで叫んでくれました!映画大好きっ子でアクトに来てくれたんですが、こんなことをやらされることになるとは...と言っていました(笑)彼にはとても 感謝です! 辻さんは、過去にも数々の作品に出演しているアクトのベテラン俳優です。オールバックスタイルで、犬役からチンピラ役、おねえまで色んな役柄を演じて くれます。今回、跳び蹴りの高さには驚きました。高い方がいいかなと思っ て、と言っていました。
6.「Q&A 方式だけじゃ伝えきれない部分が多いと思います。ここはどうぞ好き なように言いたいことを言ってください!!」
カップラーメンは、ちゃんと 3 分待ってから食えとキャストに言わせてしまい ましたが、2 分くらいのまだ麺がちょっと固い状態もとても美味しいと思います!
7.「最後に今後の学生映画界に対してどんな展望・希望を抱いているかお願い します」
いま簡単にネットにアップできるので、今まで撮った映画はネットを通して人に観てもらうことが多かったのですが、やっぱり生で観てもらって反応がわかったり意見をもらったりするのは、格段に嬉しいなと思いました。また気に入った作品の監督に直接感想を言えたことも嬉しかったです。
もっと学生映画を発表する場が増えたら、もっと盛り上がっていくんじゃないかなと思いました。学生でしか撮れない、自由で楽しい作品がこれからもたくさん作られていくといいですね!!
【第4位選出時の馬渕有咲監督】
インタビューの協力ありがとうございました!
御三方、改めまして入選おめでとうございました!
次回は
第 3 位 『とってもおいしいケーキの食べ方』/石丸峰仁監督/大東文化大学映画研究会
第 2 位 『無重力』/鈴江誉志監督/駒澤大学シネマプロデュース研究会
第 1 位 『Unite or Divide』/助川⻁之介監督/東京大学映画制作スピカ 1895
御三方の記事になります。 次回もどうぞよろしくお願いします。
担当者:二瓶直也
成城大学映画研究部一年。ドアにカメラを取り付けたり、全編(約30分)を渋谷オールロケで撮影したり、何かと変な映画ばっかり撮っているせいで周りから引かれている。好きな映画監督は北欧の巨匠ベルイマン。憧れの監督はイランの名匠キアロスタミ。現在Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kを購入しようか迷い中。
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