「3min映画祭」入選者インタビュー 第一弾

昨年 12/16(日)に開催されました首都圏映画サークル連合主催「3min映画祭」では、沢山 のご応募、ご来場をしていただき、誠にありがとうございました! 

この度は以前より告知しておりました、「3min映画祭」の入選者インタビュー第一弾(第二、 第三弾も近日公開予定)を公開させていただきます。
記事の作成に協力していただいた入選者、関係者様、

本当にありがとうございました!


【映画祭終了後の入選者集合写真】


今回の映画祭では応募総数 35 作品という当初の予想をはるかに上回る作品が集まったことや、参加者が一人 5 票(1 作品上限 3 票)を作品の審査点として投票できる審査方式を採用したこともあって、非常に個性豊かでレベルの高い入選作品が揃ったのではないかと思 います。

本インタビューも、作品に製作者の豊かな感性が反映されるように、監督それぞれの個性が 体現された、面白い内容になっています。
7 問という作品を語るにはあまりに少ない質問数ではあったかもしれませんが、それぞれの監督様が思いの丈で充実した回答してくれました。 
皆様の今後の作品制作の参考・励みになる、また何かしらの糧になるきっと素敵な内容だと 思うので是非ご覧ください。
 
第1弾では 

新人賞を受賞した『機内モード』の福田結希監督(成城大学映画研究部)


第 7 位に選ばれました『MEMO"A"』の小野真彩監督(⻘山クリエイティブチーム)


御二方のインタビューを掲載させていただきます。



【『機内モード』の劇中シーン】

《福田結希監督インタビュー》

 1.【今回の作品のテーマを一言で表すなら?】

A. 「自販機内で働く人たち」です!


2.【「3 分以内」という募集条件を見た時、又はA.作品製作時にどう捉えましたか?】

コメディーにぴったりな条件だと捉えました。 短い時間で完結し、且つお客さんを楽しませられるようにと意識して作りました。


3.【他の学生監督さんの作品制作のヒントになるよう、製作時に使用した主な撮影機材を教え てもらえたりしないでしょうか?(カメラ、レンズ等)】

A.GH5、25 mm単焦点レンズを使用しました。 また、三脚の脚を極限まで開き、低い位置から少し見上げるようにして撮影しました。


4.【趣向を凝らしたタイトルセンス、エンドクレジットが会場でも非常にウケていました ね!是非改めてそれについて伺いたいです】

A.タイトルはエンドクレジットを作る際に思いつきました。 スマホ内の写真をスクロールすることでエンドクレジットとした為、撮影時に「メールが 来てカットになったらどうしよう...」と心配していたんです。

が、その時閃きました。

「機内モードにしておけばメールこないじゃん!」と。 機内モード......自販“機内モード”......決定です。笑 そしてそのエンドクレジットは、キャストさんはもちろん、協力して下さったスタッフ の方々にも作品に参加(登場)していただきたいという思いから製作しました。 ペットボトルに書かれた名前は、全て各自手書きで書いていただいたんですよ!


5.【自動販売機の擬人化という着眼点もさることながら会話の中身、語り口調も楽しかっ たです。個人的に菅田将暉・池松壮亮主演の『セトウツミ』を思い出しました。というと やはり本作の主演二人ついても気になります。いかがでしょうか?】

A.二人は自販機内で働く仲間で、派遣(設置)先で何度も一緒に仕事をしたことがあるとい う関係です。

客席から見て右側の陽気な彼と、左側の陰気な彼。 対極的な二人が合わさったら、きっと面白いものができると思いこのような人物設定にしました。


6.【Q&A 方式だけじゃ伝えきれない部分が多いと思います。ここはどうぞ好きなように言 いたいことを言ってください!!】

A.実は(お気付きの方もいらっしゃるかと思いますが)本作には、やむを得ずカットを繋い だシーンがあるんです。

ですが、客席から見て左側の彼が 1ミリも動かずにいてくれた為、あまり目立つことなく 繋ぐことができました!

これには編集していて思わず叫びました。

「動いてない!!!」と。笑

自販機で買い物をする際には、是非彼らのことを思い出してあげて下さい! もし間違った商品が出てきても「またやってるよ、あいつ〜」と笑って許してあげて下さいね。笑(※冗談です。ちゃんと業者の方にお問い合わせ下さい!!)


7.【最後に今後の学生映画界に対してどんな展望・希望を抱いているかお願いします】

A.目指す場所は違えど、同じ想いで集った仲間と一緒の時間を過ごせるということは、一生 の財産だと思います。 なので私は、学生映画界がそのような交流の場であってほしいと密かに願っております。

【新人賞受賞時の福田結希監督】

インタビューの協力ありがとうございました!


続いて第 7 位に選ばれました、小野真彩監督のインタビューです。

【『MEMO”A”』の劇中シーン】

《小野真彩監督インタビュー》

 1.【今回の作品のテーマを一言で表すなら?】

A.謎!!(nazo)≒魔法です。


2.【「3分以内」という募集条件を見た時、又は作品製作時にどう捉えましたか?】

A.これは、(ビデオアートができる)チャンス!と捉えました。


3.【他の学生監督さんの作品制作のヒントになるよう、製作時に使用した主な撮影機材を 教えてもらえたりしないでしょうか?(カメラ、レンズ等)】

A.今回のはスマートフォンです(笑)発火しないタイプの GALAXY ですね。後はカラグレで 雰囲気作りました。ソフトは premire pro です。


4.【観客の精神をトリップ感などではなく、もっと高次元の遠い何処かへ連れて行ってし まう。そんな映像を3分以内という時間の制約の中で見事に成立させていたと思います。 主な撮影場所は香港と部室みたいな話をチラッと聞いたのですが本当でしょうか!?タルコフスキーが『惑星ソラリス』の中で日本の首都高速の映像を未来都市の風景として使った 話に近いものを感じます】

A.お??何処にいってしまったのでしょうか??非常に気になりますね。

はい、ロケは香港 旅行中に撮ったもの、と ACT の部室で女の子を撮りました。そうですね、普段の生活で SF を感じさせる要素には興味があります。

『惑星ソラリス』もそうだし、ゴダールの『アルファビル』など、ロボットとか宇宙船みたいな所謂 SF セット、でない日常的風景が SF 要素(つまり近未来感)として機能することに興奮します。なぜなら、それらの過去作品か ら半世紀近く経っている、かつ時と共に実際の風景も変化しているのにも関わらず、人間 の SF 的イメージていうのは大して変わってない。ここにキャッチーな普遍性を感じます ね(笑)

SF の概念イメージって、その時代(未来)の社会システムとかイデオロギーの投影で、その 世界観は建築や土木に表れると思っていて、そしてそれが文脈次第では現代で使われてる もので表現できるっていうことが個人的にめちゃくちゃエモいのでよくやってます。未来 は現代と繋がってる、なんて生易しいもんじゃなくて、既にここにあるじゃん!やべ ぇ!、となります(笑)そういう場所を普段から探してます〜(あったら教えてください)


5.【上映後に話していた監督自身の《モノづくり》についての話が凄く印象に残ってい て、もっと深く掘り下げた話をインタビューで必ず聞きたいと思っていました。裏話にな りますが新代表の鈴江さんからも是非聞いて欲しいと頼まれてます(笑)。ここはどうか 映画という枠を超えて創作行為に対する監督ご自身の考えを聞かせてもらえないでしょうか?】

A.そうですね、ここ最近、創作行為について考えることが多くて、というのもサークルの 先輩に「お前は精力的にやってるけど、なんで色々作ってるんだ?」と聞かれたときに、 納得させる回答ができず、それまであまり考えたことがなかったからです。別に作りたい から作るってだけで、。

ただ確かに「作品」として完成させるための着地点について考え たときに、見せることを前提とすると、自分だけでなく他者の視点が浸透してくる。で、 見せられた相手も批評する立場になった時点で、観客であると同時に作者として機能して て、その相互作用でお互いの認識が広がる思っています(意識的であれ無意識的であれ)。 

私の制作行為も、今まで見てきた諸々の作品に影響されているという面では作者と観客の 二つの統合された視点を持っている。文字通り、観てきた作品が血と肉になっているのを 感じることがある。そして、この鑑賞と制作の相互作用と連鎖が続いていくということは 人類全体としての認識し得る世界の拡大に結果として貢献すると思っていて。どんな作品もその可能性を秘めているし、観客もまた然りという点で誰かが何かを制作する行為は如 何なるものであれ意義を持つとは思っています。

このことと、芸術的な評価というのはま た別のものなので、どんな作品であれ芸術として認める、ということではありません。ただ、今回は制作、という行為について述べさせて頂きました。あくまで現時点での まとめ、で、今回の memo"A"という作品も現時点での個人的なメモ、です(笑)


6.【Q&A 方式だけじゃ伝えきれない部分が多いと思います。ここはどうぞ好きなように言 いたいことを言ってください!!】

A.ええ!ここまで結構⻑かったので!(笑) 今回入賞できて光栄ですし、気に入ってくれた人がいるのは嬉しいです。皆さんの意見も うかがいたいと思ってます。


7.【最後に今後の学生映画界に対してどんな展望・希望を抱いているかお願いします】

A.学生映画、ってあまり詳しくはないのですが、学生にしかない視点とかを表すことは、時 代を記録すること、という観点では全て素敵なことなのでもっと盛り上がって欲しいです。

【第7位選出時の小野真彩監督】

インタビューの協力ありがとうございました!


福田監督のインタビューは僕(筆者)が同じ大学の映画研究部に所属していることもあって 「ゆーきちゃんらしいな〜」とほのぼの読ませてもらいました。福田監督は普段からインタ ビュー通りの気さくで楽しい人です(笑)。まだまだ映研に入部して数ヶ月程しか経ってい ないのでいっそう活躍が楽しみな監督。

小野監督のインタビューは普段から「創作」という言葉を頭の片隅に置いて日常を目差して いるんだろうなぁというのが言葉から伝わりました。僕も最近、三宅唱監督の『無言日記』 に感化されて、「いいなぁ」と思った風景を動画で残しているので、僕も一年後には日常風 景から作品を紡ぎ出せるような感覚を身につけられたら、なんて思ってます。なんか私ごとですいません(笑)。

御二方、改めまして本当に入選おめでとうございます!!




次回は

第5位(同率) 『ハッピーアワー』/岩瀬航監督/千葉大学映画研究会


第 5 位(同率) 『memento mori』/野澤直貴監督/大東文化大学映画研究会 


第 4 位 『カップラーメン』/馬渕有咲監督/⻘山クリエイティブチーム 


御三方の記事になります。
次回もどうぞ宜しくお願い致します。

首都圏映画サークル連合

2014年9月5日発足の団体です。 2015年9月1日現在、21の映画研究部、映画研究会、映画サークルが所属しています。 運営はすべて学生が行い、首都圏映画サークル連合運営員会が、その中心を担っています。 学生映画の質・知名度の向上、各団体の繋がり強化のため、合同上映会や合同制作を行っています。